アルゼンチンのブエノスアイレスで閉幕した主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は、首脳宣言こそ採択できたが、米中摩擦が影を落とす中、貿易問題で明確なメッセージを打ち出せなかった。昨年発足したトランプ米政権の保護貿易策が先鋭化する中でも「反保護主義」の姿勢は示してきたが、今回ついにその文言を宣言から削除。国際協調の枠組みとしてのG20の存在意義が問われている。
今回のG20サミットは米中首脳会談に関心が集中する中で開かれた。トランプ米大統領が高関税という脅しで中国との「ディール(取引)」を繰り広げる中、G20として自由貿易を堅持する姿勢を示せるかが問われた。しかし首脳宣言から「反保護主義」の旗印が初めて削除される結果となった。
削除されたのは、昨年の宣言にあった「不公正な貿易慣行を含む保護主義と引き続き闘う」との一文だ。議長国アルゼンチンのマクリ大統領は閉幕後の会見で「米国は保護主義とレッテルを貼られることは受け入れないと思う」と述べただけで、理由を明確に説明しなかった。
削除された文言の中の「不公正…