トヨタ自動車は、2019年1月に専務役員と常務役員、常務理事(役員待遇)を廃止すると発表した。専務役員は執行役員に名称を変更。新たに「幹部職」を設け、常務役員と常務理事を部長級の社員らとひとくくりにする。すばやく意思決定できるようにする一方で、有能な若手を登用しやすくする。
社長を含めた執行役員は現在の55人から23人にまで減らす。部長や室長ら幹部社員の職能資格「基幹職」1級と2級をなくし、常務役員や常務理事とひとくくりにする。幹部候補者には40代前半で2級になる人もおり、これまで役員が担当してきた役職に配置できるようになる。その一例として同日発表した来年1月1日付の人事で、友山茂樹副社長(60)が現在担っている事業開発本部長の役職に、基幹職1級の社員(49)を抜擢(ばってき)した。
役員体制を改めることで経営の方向性を迅速に決められるようにし、電動化や自動運転といった業界をめぐる変化に対応していく。豊田章男社長は「階層を減らすことによって、これまで以上のスピードで即断、即決、即実行できるトヨタに生まれ変わる」とのコメントを出した。
一方、トヨタ自動車の完全子会社で、小型車生産を担うトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)は来年1月1日付で執行役員制度を廃止すると発表した。意思決定を迅速化するとともに、執行役員が就いてきた工場長などの幹部ポストに若手を登用しやすくする。(細見るい、竹山栄太郎)