堀篭俊材の波聞風問
1人の人間が文化の異なる二つの国の大企業でトップを務めるのは奇跡だが、現実でもある――。日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者が自著で誇った「最も機能する経営形態」は、いまとなっては「砂上の楼閣」だったというしかない。
ゴーン前会長は、巨額の役員報酬を有価証券報告書に記載していなかったとして逮捕された。疑惑を持たれる役員報酬のひとつに「株価連動型インセンティブ受領権」がある。この制度を導入する会社は欧米でも珍しいという。
業績向上による株価上昇で報酬が増えるのは、株式を買える権利を役員に与える「ストックオプション」と似ている。だが日産の制度は違う。株価が上昇すれば、その分を現金で受けとれる。
上場企業の役員はインサイダー…