フィギュアスケートのジュニアグランプリ(GP)シリーズ上位6人で競うGPファイナルが6日、カナダ・バンクーバーで開幕する。女子は出場6人中5人がロシア勢と、まるでロシア選手権の様相だ。その中でも、4回転ジャンプに挑む2人の14歳が優勝争いの中心となりそうだ。
フィギュア特集 Kiss and Cry
一人は、2連覇を狙うアレクサンドラ・トルソワ。今年3月の世界ジュニア選手権で、国際スケート連盟(ISU)公認大会では2002年にサルコーを跳んだ安藤美姫以来、女子2人目となる4回転に成功したホープだ。5日の公式練習ではルッツやトーループの4回転に挑戦。曲をかけた練習でトーループを着氷すると、拍手が沸いた。
4回転で、次々と「女子初」を打ち立てている。世界ジュニア選手権では4回転を跳んだだけでなく、サルコー、トーループの2種類に成功。今季のジュニアGPシリーズ・アルメニア大会では、男子でも跳べる選手が少ない大技、4回転ルッツを決めた。
ISUの公式ホームページ(HP)によると、トルソワは「フリーで三つの4回転を入れたかったが、体調が悪くてできなかった。プログラムを磨いて100%にしてファイナルに備えたい」と語っている。
もう一人はアンナ・シェルバコワ。ISUのHPによると、優勝した今季のジュニアGPシリーズ・スロバキア大会の練習で、4回転ルッツ―3回転トーループ―3回転ループの3連続ジャンプを跳んだ。続くカナダ大会ではフリーの冒頭で4回転ルッツに挑み、回転不足で転倒した。「最初のGPの後、4回転をたくさん練習した。安心している時間はなく、やらなければならないことがたくさんある」と話している。
2人に共通点は多い。ともに身長150センチ台で、平昌(ピョンチャン)五輪女子金メダルのアリーナ・ザギトワ(ロシア)と同じトゥトベリゼコーチから指導を受ける。今季はGP2連勝中で、フリーの技術点ではザギトワに迫る70点台を出し、合計点も200点を超えている。ロシア勢の勢いは止まりそうにない。(大西史恭=バンクーバー、浅野有美)