プロ野球オリックスから国内フリーエージェント(FA)権を行使した西勇輝投手(28)が7日、阪神への入団を表明した。この日、大阪市内で矢野燿大監督(50)らが同席して、阪神と3回目の交渉。その後、「タイガースにお世話になります。今までにないくらい悩んだけど、決断できてホッとしている」と話した。条件は4年総額10億円(推定)で背番号は16。
三重・菰野(こもの)高出身の西はプロ10年で2桁勝利を5度マークし、通算74勝。今季最下位の阪神は先発投手が防御率4・23と不振で、その強化が課題だった。
阪神にとって西獲得の意味合いは大きい。単に2桁の勝ち星を期待できる投手が1人加わるという以上の波及効果が望めるからだ。
投手陣には藤浪、小野、才木ら球速150キロ台は当たり前の若手右腕がそろう。本格派を好む金本前監督が、そうした素材を優先的にドラフト指名したからでもある。そこに緩急を駆使し、四隅を突く投球術で生きてきた西が加入する。矢野監督は「捕手が組んですごくおもしろい投手。若手の手本にもなる」と語った。来春のキャンプから周囲に刺激を与えるだろう。
今季の先発陣で柱といえるのは11勝のメッセンジャーだけ。シーズン終盤は大卒2年目の小野、高卒2年目の才木も相手のエース級と投げ合うことがあり、勝ち星が伸びなかった。来季、西がカードの初戦など重要な試合を引き受ければ、小野らが投げ合う相手投手の番手は下がる。28歳で脂の乗りきった西は、若手が自信をつけるための助けにもなれるだろう。
6年連続でパ・リーグ球団が日本一に輝き、交流戦での対戦成績も長くセ・リーグの方が分は悪い。レベルの高いパで、西のシーズン最多勝は2014年の12勝。セで何勝できるかも興味深い。(伊藤雅哉)