来春の大型連休(GW)は10連休になる。異例の長期休暇となり、医療機関の休業や働く人の収入の減少など、生活への影響も懸念される。官民が対策に迫られている。
新天皇の即位に関連し、来年の5月1日と10月22日を1年限りの祝日とする法律が8日未明、参院本会議で可決、成立した。曜日の配列や祝日法の規定で、来年のGWは4月27日から5月6日の10連休となる。菅義偉官房長官は7日の記者会見で、これまでの最長は9連休だったとし、「国民生活に支障が生じないよう、政府として万全を期したい」と述べた。
心配されるのが、医療への影響だ。全国の病院の多くが所属する「日本病院団体協議会」は11月30日に代表者会議を開催。連休中の勤務体制や薬の供給に不安があるとして、厚生労働省や各地の医師会と連携して具体策を検討することを決めた。
千葉大付属病院の井上貴裕副病院長は、ガンや骨折などの予定を組む手術について「どこの病院も手術室の数はギリギリで、1日あたりの件数を増やせない。10日間休むと大幅な遅れが出るだろう」と懸念。軽症患者が中核病院の救急外来に集中する可能性もあるとして、「開業医と中核病院が連休中に診察日を設けるべきだ」と指摘する。
月の3分の1にあたる日数が休みになるため、時給や日給で働く人の収入確保も課題だ。非正規労働者が個人で加入できる労働組合「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長は、「月給ベースの正社員の感覚だけで決められた法律。収入の3分の1が減るのは死活問題で、収入減を補う対応が必要だ」と訴える。
日本郵政は一部の祝休日に郵便配達や窓口業務を行う方向だ。平日と土曜に配達する普通郵便が、原則通りだと9日間連続で止まる。利用者に不便をかける事態を避けるためのほか「滞留する郵便物の保管場所がない」(広報)との事情もあるという。
法案を審議した衆・参の内閣委員会では、政府に対し「国民生活に支障を来すことのないよう万全を期す」ことを求める付帯決議を法案にあわせて可決した。医療機関や保育施設の休業や交通機関の混雑も考慮した対応を取るように求めている。(大久保貴裕)