日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)が2010~14年度の役員報酬を計約50億円分過少記載したとして逮捕された事件で、東京地検特捜部は勾留期限の10日、前会長と側近の前代表取締役グレッグ・ケリー容疑者(62)を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴する方針を固めた。さらに同日、直近の15~17年度の報酬計約40億円分について、同容疑で再逮捕する方針だ。
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同法の両罰規定に基づき、法人としての日産も起訴するとみられる。
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ゴーン前会長と特捜部対立 先例ない事件、今後の焦点は
ゴーン前会長は、14年度までの5年間の報酬が実際は計約100億円だったのに報告書には計約50億円と過少記載したとされる。実際の年間報酬は約20億円だったが、高額報酬への批判を避けるため、その年に受け取る分は約10億円にとどめ、差額の約10億円は退任後に受領する仕組みだったという。
関係者によると、ゴーン前会長の報酬は年々、徐々に増えていた。特捜部は直近の17年度までの3年間について、報告書には計約29億円と記載されていたが、実際は計約40億円多かったとして再逮捕するとみられる。10~17年度の8年間の虚偽記載容疑の総額は約90億円にのぼる見通しだ。
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