韓国の光州地裁は14日、戦時中に女子勤労挺身(ていしん)隊員として名古屋市の飛行機工場に動員された金英玉(キムヨンオク)さん(86)と、故崔貞礼(チェジョンレ)さんの遺族が三菱重工業を相手取って損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、同社の控訴を棄却し、金さんに1億2千万ウォン(約1200万円)を、崔さんの遺族に相続分にあたる約330万ウォン(約33万円)を支払うよう命じた。
韓国最高裁、三菱重工にも賠償命令 元徴用工らの訴訟
判決によれば、韓国南部・麗水(ヨス)に住んでいた金さんは12歳の時、「日本に行けば教育も受けられるし、金も稼げる」と言われて名古屋に渡り、過酷な労働を強いられた。1927年生まれだった崔さんは44年12月、動員された日本で地震にあい、建物の下敷きになって死亡した。韓国の大法院(最高裁)は元徴用工らが新日鉄住金や三菱重工業に起こした訴訟3件で、賠償を命じる判決を確定させている。今回の光州地裁の控訴審判決も、確定判決と同じ理由で出された。
21日にはソウル高裁で、元徴用工が日立造船を相手に起こした訴訟の判決が言い渡される。韓国政府は関係6省庁で対応策を協議しているが、難航している。(ソウル=牧野愛博)