順天堂大が医学部の不適切入試をめぐり女子のコミュニケーション能力が高いため、面接で不利になる男子の点数を補正した、と説明した問題で、大学側が「医学的な検証の資料」として提出した論文を執筆した米国の大学教授が朝日新聞の取材に応じた。教授は「私の研究内容との関連がわからない」と述べ、論文の趣旨とは異なるとの見解を示した。
順大入試、女子を一律に減点「コミュ力が高いため補正」
順天堂大は不適正入試を検証した第三者委員会に「医学的検証を記載した資料」として米国のテキサス大のローレンス・コーン教授が1991年に執筆した論文を提出した。
コーン教授は、朝日新聞の取材に対し、メールで回答。「医学部の入試で女子だけ合格点を上げることと、私の研究内容との関連は、私にはわからない」とした。「私の27年前の論文は、心理的成熟の性差について調べたもので、『コミュニケーション』や言語能力の性差を調べたものではない」としている。
14日午後7時から、同大前でサイレントデモがある。「コミュニケーション能力」を問題視したことに抗議するため、キャンドルを手に沈黙で行う。医療系学生らでつくる団体「MSAIDs(エムセイズ)」が開く。ツイッターで「差別を肯定する合理的な理由など一切ない。キャンドルはスマホでも」と呼びかけている。(仲村和代、山下知子)