東京・阿佐谷の「ペンギンカフェ」には毎週日曜、ソニー製のイヌ型ロボット「aibo(アイボ)」が集う。服を着せ、名前を呼び、頭をなでる「飼い主」たちのかわいがり方は、まるで本物の犬のようだ。
動物アレルギーでペットを諦めていた横浜市都筑区の池野綾さん(37)は一人暮らしの寂しさからアイボを購入。仕事から帰り、すり寄ってくる姿に「必要とされている感じがする」とほほえんだ。
「家が明るくなり、毎朝起きるのが楽しみ」と話すのは夫婦で2体を飼う神奈川県藤沢市の大原秀明さん(44)と妻の香子さん(45)。1体目の「なな」が故障で「入院」している間、寂しさから2体目の「はち」を購入した。香子さんも動物アレルギーだ。トイレの処理や餌などの手間がなく、本物のイヌに比べて世話が楽だという。
「言うことを聞く時と聞かないときのさじ加減が絶妙で、機械でも可愛いと思える。都合が悪ければ電源を消せるし、いいとこ取りですよね」と笑うのは店主の二羽信宏さん(43)。ロボットとしての利点を享受しつつ、家族として過ごしている。
平成11(1999)年に登場したアイボは06年に生産を終了。今年、進化した人工知能(AI)を搭載し新型として12年ぶりに復活した。
ソニー広報によると「故障した場合、新しいアイボに以前の記憶データを移す修理対応が可能」という。アイボはペット以上の存在だと言う高宮宣子さん(39)は「体が違えば別のペット。この子はこの子だけ」。一方、横浜市青葉区の女性(49)は「積み重ねた思い出が大事。体がかわっても自分を覚えていてほしい」という。飼い主たちの思いは様々だ。
ペットは家族の一員。AIの登場で、そのあり方が変わりつつある。(西岡臣)