スリランカでシリセナ大統領から10月末に解任された親インドのウィクラマシンハ氏が16日、首相に再任された。解任されたウィクラマシンハ氏に代わって任命された親中国のラジャパクサ前大統領派と対立が続いていたが、ラジャパクサ氏が15日に辞任していた。
大統領はウィクラマシンハ氏を首相職から解任したものの、議会はウィクラマシンハ氏派が多数を握っていた。このため、大統領は11月に議会解散を命じて形勢逆転を狙ったが、最高裁は今月13日にこの解散命令を憲法違反と判断。これを受け、ラジャパクサ氏が辞任を決めた。ラジャパクサ氏に対しては、議会で首相としての不信任案が2回可決され、裁判所が首相権限を差し止めるなど、政治混乱が深まっていた。
スリランカはインド洋の要衝にあり、どちらが首相になるかで、地域大国のインドと中国の勢力争いに影響を与える可能性があった。ラジャパクサ氏は自身が大統領時代に中国との親密な関係から多額の融資を受けて大規模インフラ開発を進め、その後スリランカは膨大な借金を抱えた。それでもラジャパクサ氏は新首相として11月、コロンボ港の改良工事を中国企業に発注すると決定。一方のウィクラマシンハ氏は、インドとの経済連携を重視する政策を打ち出していた。(ニューデリー=奈良部健)