コムデギャルソンのデザイナー、川久保玲は常に新しさに挑んできた。それが2019年春夏の作品では「デザインしなかった」という。「内面的なデザイン」に向かった川久保に聞いた。
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――過去5年間のオブジェのような概念的な表現から一転しましたね。
抽象的なイメージを形にして、服ではないような形を作ることはある程度やりがいはありました。しかし、それにはもう新しさを感じなくなったのです。常に新しく、強く、人の心に刺激を与えて前に進むことを目指してきたけれど、その方向では次の新しさを見つけることができなかった。そして最後に、デザインしないことがデザインではないかと気づいた。心の中を探って、出てきた中身を素直にシンプルな形で出すしかないと決めました。
――それが「内面的なデザイン…