インドネシア中部のジャワ島とスマトラ島の間に位置するスンダ海峡で22日午後9時27分(日本時間22日午後11時27分)ごろ、津波が起き、少なくとも168人が死亡、745人が負傷、30人が行方不明となっている。海峡にある火山島が噴火し、海底で地滑りが起きたことが原因とみられる。
島襲った同時多発の津波、引き金は液状化 研究者も驚き
国家防災庁(BNPB)が23日に発表した。
両島沿岸部の住宅地や観光ビーチが被害を受けており、家屋558棟、ホテル9棟が、大きな被害を受けた。犠牲者はさらに増える可能性がある。在インドネシア日本大使館は「BNPBによると、確認された死者のなかに邦人を含む外国人はいない」としている。
BNPBの報道官は23日、「津波は地震によるものではなく、高潮と海底の地滑りによって発生した」と発表した。スンダ海峡の火山島アナククラカタウが22日午後9時過ぎに噴火し、断続的に揺れが起きたことが影響したとみられている。
報道官が報道陣に公開した現地からの動画では、海沿いの住宅地が浸水し、家屋が激しく壊れたり、車が横転したりしている様子が映っている。
ジャワ島西部バンテン州の観光ビーチ「タンジュン・レスン」では津波が起きた当時、インドネシアの人気バンドのライブが開かれていた。ネット上で拡散している動画では、ステージの背後からいきなり津波が押し寄せ、舞台や観客席がのみ込まれて悲鳴が響く様子が映っている。
このバンドのボーカリストは23日、自身のSNSに「ベーシストとスタッフが犠牲になった」と投稿した。ライブには約260人の観客がいたとの情報がある。(ジャカルタ=野上英文)