来春からの外国人労働者の受け入れ拡大に向けて、政府は25日の閣議で、新制度の全体的な方向性を示す基本方針と、業種ごとの受け入れ見込み人数などの詳細を記した分野別運用方針を決めた。新在留資格「特定技能」をめぐる国会審議で野党から「生煮え」と批判された内容について、具体像が浮かんだ部分もあるが、多くはなお煮詰まっておらず、実効性が課題になりそうだ。 外国人受け入れ7割が生産性低い業種 低賃金、固定化も 基本方針と分野別運用方針は、閣議決定前の12月中旬に自民党の各部会などが審査した。そこでは今後、制度運用の火種となりそうな論点が浮かび上がった。 「気仙沼でイカの塩辛をつくっていた実習生が、特定技能に移ると東京の総菜屋やパン屋で働ける。みな首都圏に行ってしまう」 19日の水産分野の会合では、都市部への流出に危機感をあらわにする小野寺五典衆院議員(宮城6区)がこう話すと、水産庁幹部は「そういう転職は可能な仕組みです」と答えた。 技能実習制度では業務が細分化され、転職も認められていない。一方、特定技能は業務の区分はゆるく、同じ業種内での転職も認められており、政府は扱うものが全然違っても転職可能との認識を示した。幅広く転職が可能となり、分野別運用方針の都市偏在を防ぐ手立てがどれだけ歯止めになるかは不透明だ。 法務省は、出席議員の「都市部に受け入れ数の上限を設けるべきだ」との主張を受け、受け入れや共生のための総合的対応策に、地域別の受け入れ人数を3カ月ごとに公表することを盛り込んだ。ただ、「定着を促す施策につなげていく」とするその具体策は見えない。 ■日本語レベルど… |
「東北で塩辛作っていた人が東京へ」外国人材流出に懸念
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