法務省は27日、1988年に大阪府内で2人を殺害し、約1億円を奪ったとして強盗殺人罪などに問われ、死刑が確定した2人の男の死刑を大阪拘置所で執行した。山下貴司法相が会見して公表した。2018年に入ってからの執行者数は計15人となり、法務省が執行の事実や人数の公表を始めた1998年11月以降では、08年と並んで最多となった。
死刑が執行されたのは、元暴力団幹部の岡本(旧姓・河村)啓三(60)と元投資顧問業の末森博也(67)の両死刑囚。弁護人によると、岡本死刑囚は再審請求中だった。
山下氏は会見で「法治国家である以上、確定した司法判断は厳正に執行されなければならない」と説明。「死刑は人の生命を奪う刑。記録を十分に精査し、刑の執行停止、再審事由の有無などを慎重に検討して執行を命じた」と述べた。
山下氏が10月に法相に就任してから、死刑執行は初めて。法務省は7月6日に元オウム真理教代表・松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚ら元教団幹部7人の死刑を執行し、同26日には、元教団幹部6人の死刑も執行していた。12年12月に第2次安倍政権ができてからの死刑執行は15回目で、計36人が執行されたことになる。同省によると、収容中の確定死刑囚はこれで109人となった。
岡本、末森両死刑囚の確定判決などによると、2人らは88年1月、大阪府内で投資顧問会社の社長と社員の男性2人を殺害。約1億円を奪ったうえ、遺体をコンクリート詰めにして土中に埋めて遺棄した。一、二審で死刑判決を言い渡され、04年9月に最高裁が上告を棄却し、確定した。
山下氏は法相就任後の会見で再審請求中の死刑囚の執行について問われ、「再審請求中であったとしても、当然、棄却されることを予想せざるを得ないような場合などは、死刑の執行を命ずることもやむを得ない」と語っていた。(浦野直樹)