今季、プロ野球のパ・リーグ6球団が共同出資した「パシフィックリーグマーケティング」(PLM)の売上高が、初めて50億円に達した。リーグ単位のビジネスチャンスを拡大しようと2007年に設立され、売上高は初年度の1・8億円から27倍以上となった。
売り上げの9割近くを占めるのがインターネットでのプロ野球配信事業。PCやスマホの普及に伴い、12年から試合を有料でライブ配信する自前の「パ・リーグTV」を手がけ、他社にもライセンスを販売。昨季の配信は2社だけだったが、今季は「DAZN(ダゾーン)」などの計4社となり、売り上げは昨季の3倍近く増えたという。また、「パ・リーグTV」は今年、バーチャルリアリティー(VR=仮想現実)の技術を使った映像を配信し、他社との差別化を図ってきた。
セ・リーグが球団単体で事業に取り組むのに対し、パ・リーグはリーグビジネスが軌道に乗ってきた。共同スポンサーの獲得のほか、台湾のスーパースター、王柏融が日本ハムに加入し、アジア市場での放映権販売や訪日観光客を取り込むビジネスの可能性も広がっている。
PLMの今後について、根岸友喜・代表取締役CEOは「6球団でやったらいいことと1球団でできないことしかやらない。20、30年後の日本社会を見据え、野球観戦を通じて社会問題の解決にも取り組みたい」と話している。(笠井正基)