トランプ米大統領が表明しているシリアからの米軍撤退を巡り、ボルトン大統領補佐官は6日、撤退は米軍と共闘してきたクルド人武装組織の保護を条件とすることを明らかにした。訪問先のイスラエルで記者団に語った。
ロイター通信によると、ボルトン氏は米軍撤退に関し、「我々と一緒に対テロを戦ってきた人々が保護される形でなければならない」とし、クルド人武装組織の安全が確保されなければ撤退は実施されないとの見方を示した。その上で「我々は、トルコが米国との調整なしに軍事行動をとるべきだとは思わない」と述べ、シリア北部のクルド人組織に対する越境軍事作戦を宣言していたトルコを牽制(けんせい)した。
トランプ氏は昨年12月、シリアに駐留する約2千人の米兵の全面撤退を表明。駐留米軍は、過激派組織「イスラム国」(IS)を掃討するため、クルド人武装組織を支援してきた。だが、トルコはクルド人武装組織をテロ組織とみなしており、米軍の撤退を歓迎していた。
後ろ盾を失うことになるクルド人武装組織が、シリアのアサド政権と協調する姿勢を鮮明にするなど状況が複雑化している。
米軍の撤退は、クルド側を見捨てることになるほか、ISの再起やアサド政権を支えるロシアやイランの影響力の拡大につながるとの懸念が出ている。米政権内でも異論が根強く、撤退に反対したマティス前国防長官の辞任につながった。(ワシントン=杉山正)