西日本豪雨の発生から6日で半年。豪雨で被害が集中した広島、岡山、愛媛の3県では、被災者は避難所から建設型や自治体が民間賃貸住宅を借り上げた「みなし」仮設住宅などに移った。地元を離れた仮住まいでの暮らしは心身への負担が大きく、安心できる住まいの早期再建が課題だ。
3県の被災者は、朝日新聞の昨年12月14日時点のまとめで、みなし仮設に約4200世帯、建設型仮設に約640世帯、公営住宅などに約550世帯が入居し、みなし仮設が8割近くを占める。壊れた自宅を補修して暮らす人もいる。
西日本豪雨
仮設住宅が建設型ではなくみなしが中心になったのは、2011年の東日本大震災からだ。当時から、被災地を離れ分散して暮らす被災者の健康状態や生活状況を、どう把握するかが課題となってきた。
16年に起きた熊本地震では、熊本県内で被災した人のうち、最大約2万300世帯が県内外の仮設住宅や公営住宅に入居。うち7割強がみなし仮設だった。熊本県によると、昨年12月末までに26人が孤独死し、うち21人がみなし仮設に住んでいた。県内の市町村は地域支え合いセンターを設け、生活支援相談員が戸別訪問するなど見守り活動を続けている。
豪雨の被災3県の市町も同様の仕組みを取り入れているが、人手が足りず支援が十分でない地域もある。
土砂崩れの多発で約1160棟が全半壊し、災害関連死を含め17人が死亡した広島県坂町では、建設型仮設に約100世帯が入居。みなし仮設には約90世帯が入り、うち6割が町外の広島市や同県の呉市、海田町などで暮らす。
坂町の地域支え合いセンターは昨年10月にできたが、町職員は被災者の孤立を防ぐ地域交流の催しなどの企画に追われ、見守り活動に専従しているのは、委託された看護師ら2人。高齢者や持病がある人を優先して週1回ほど回るため、まだ面会できていない人もいる。
センターは今月から専従職員を2人増やした。担当者は「親類宅などで暮らすケースを合わせれば、見守り対象は500世帯以上になる。さらに増員を検討したい」と話す。(原田悠自)
業者不足し、長引く解体作業
住まい再建の第一歩となる、被災家屋の解体も本格化している。国と市町村が公費で負担する制度があり、今回の豪雨は半壊以上が対象になっている。
広島、岡山、愛媛3県の住宅被害は、朝日新聞の昨年12月14日時点のまとめで全壊6609棟、半壊1万108棟、一部損壊3328棟、床上浸水6245棟、床下浸水1万4852棟に上る。
10棟以上が全壊した3県の21市町に公費解体の申請件数を尋ねたところ、自費で解体後に費用の償還を求めている件数も含め、広島県は10市町で計約1090棟、岡山県は5市で計約1590棟、愛媛県は6市で計約670棟で、合計約3360棟だった。
受け付け分の解体作業は岡山県…