トランプ米大統領がシリアからの米軍撤退を表明した問題で、米軍を中心とする有志連合は11日、撤退が始まったことを明らかにした。ロイター通信などが報じた。撤退をめぐっては、米国とシリアの隣国トルコとの見解の相違もあり、今後、完全撤退となるかは不透明だ。
過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討を目的とした米軍中心の有志連合の報道官は、ロイター通信などに「慎重を期して撤退を始めた」と語った。安全上の理由から、撤退計画のスケジュールや場所は明かさなかった。
シリア反体制派の在英NGO「シリア人権監視団」も同日、米軍部隊の一部が10日夜から、米国の支援を受けてきた少数民族クルド人の武装組織が支配する北東部ハカサ県内の基地から撤退を始めたと発表した。
トランプ氏は昨年12月、シリアからの米軍撤退を表明。今年に入り、ボルトン米大統領補佐官がクルド人武装組織の保護を撤退条件とする考えを示した。一方、この武装組織を敵視し、近く軍事作戦を始める構えを見せるトルコ側は「条件は受け入れられない」と反発している。(イスタンブール=其山史晃)