中国の小中学校で、顔認証などの先端技術を使って児童・生徒を監視するシステムが広がっている。開発企業は将来は、人工知能(AI)を使って生徒の位置情報や成績、体調も一括管理することをめざす。是非をめぐって、ネットでは「子どもの安全を確保できる」と歓迎する賛成派と、「行きすぎた監視」と懸念する反対派の間で激論になっている。
昨年12月、中国共産党の機関紙である人民日報系の環球時報(英語版)が、中国国内のある学校の特別な制服を取り上げ、注目を集めた。制服の名は「インテリジェント・ユニホーム」。襟などに生徒の情報を記録した無線ICチップを埋め込み、登下校の状況を管理するシステムだ。
誘拐多発 支持する声
このシステムを開発したのは、IT企業の貴州冠宇科技。ビッグデータ産業の集積地である内陸部・貴州省貴陽市の企業で、2017年7月に実用化に成功。同社によると、インテリジェント・ユニホームは現在、貴州省内の10校と、隣接する広西チワン族自治区南寧市の1校の計11の小中学校で導入されている。
同社ホームページや中国メディアによると、チップは150度までの高温と約500回までの洗濯に耐えることができ、児童・生徒の氏名、顔写真、学年・クラスなどの情報に加え、成績も記録されている。
校門に設置された顔認証カメラ…