インドネシアで国民の9割弱が信奉するイスラム教を「侮辱」したとして宗教冒瀆(ぼうとく)罪に問われたバスキ・チャハヤ・プルナマ(通称アホック)前ジャカルタ特別州知事(52)が24日、刑期を終えて出所した。事件はイスラム強硬派が勢いづくインドネシア現代政治史の転換点とされ、政界復帰を求める声が強いなか、動向に注目が集まっている。
「拘置所で手続きを終えて、自由です!」。アホック氏はこの日朝、自身のSNSに笑顔の写真とともにこんな投稿をした。1週間前には直筆の手紙を公開。反省を述べる一方で、4月の大統領選と国会議員選挙を指して、異なる宗教や多様性を尊重する国是「パンチャシラ」(建国5原則)の大事さを説き、それを重んじる政党に投票するよう支持者らに呼びかけた。
人気は今も根強い。出所姿を一目見ようと、ジャカルタ郊外の拘置所前には早朝から大勢の支持者が詰めかけた。主婦のシティ・アピパさん(53)は、アホック氏の代名詞であるチェック柄のシャツ姿で、「少数派のために働いてくれる。絶対に政界に復帰してほしい」と期待を込めた。アホック氏の政策で、子ども4人を学校に通わせられるなど生活が向上したという。
ジャカルタでは歓迎の集会が開…