元号「平成」の選定過程を記録した政府の公文書を非開示にできる期間が正式な手続きをせずに2044年まで延長された問題で、内閣府は24日、文書の実態に合わせて期間を前倒しし、今年3月末までに変更したと発表した。4月に国立公文書館に移管され原則公開となる可能性があるが、内閣府は正式な延長手続きも検討中としており、実際の公開時期は不透明だ。
「平成」の選定過程、2044年まで非開示 経緯調査へ
内閣府は2013年に文書の管理主体が移った際に、複数の文書をまとめ直して「新たに文書を取得した」と位置づけた。期間と理由を首相に報告する正式な延長の手続きなく、保存期間の起算点を2014年4月1日とし、44年まで非開示にできる扱いにしていた。
ところが、保存期間の問題が報道されて調べ直したところ、文書の多くが「平成」に元号を決めた1989年1月7日作成と確認できたため、作成日の次年度の初日となる89年4月1日に変更したという。内閣府は不適切な行為ではないかという質問に「(13年に文書を)まとめ直した時を作成日にすること自体はガイドラインにのっとっている」と説明。「個々の文書の作成日とずれたことはよくないので改めた」としている。
平成改元の文書の保存期間は30年。このままなら歴史的な公文書として、4月以降に公文書館に移管され、原則公開となる。しかし内閣府は「業務上、延長が必要かどうかを含めて検討している」として、保存期間の延長を検討。規定上は、延長幅に制限はなく、公開時期は見通せない。(又吉俊充)