宮崎市の生目の杜運動公園で行われているソフトバンクの春季キャンプ。第2クール初日となった5日、メイン球場で特打に励んだ上林誠知外野手に世界の本塁打王・王貞治球団会長が直接、打撃指導をした。
上林は、特打のフリー打撃ではバックスクリーン直撃弾を2連続で放つ場面もあった。だが、その後のロングティー打撃では、歩み寄った王会長から「フェンスを越えるだけじゃだめだ。あの先を越えないと」と、場外へ打球を飛ばすようにハッパをかけられた。通算868本塁打の世界記録を持つ78歳、王会長の「強気な指令」に苦笑いしつつも、23歳は約35分間、懸命にバットを振り続けた。
上林は昨季、初の全試合出場を果たし、打率2割7分、自己最多となる22本塁打と13盗塁を記録した。今季目標に掲げるのは、自身初のトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁以上)達成だ。逆方向の左翼への本塁打も増やそうと、オフから前腕や大腰筋などを鍛え、「体幹が強くなってぶれずに打てている」と飛距離アップの手応えを口にする。
王会長は「体もしっかりして、たくましくなっている。去年で自信がついたんじゃないかな。今年は相手のマークもきつくなる。それをどう乗り越えるかだね」とさらなる飛躍を期待。上林が公言するトリプルスリーについては「チャレンジするのはいいこと。それを超える能力はある。頼もしいね」と目を細めた。(甲斐弘史)