凍(い)て付く大地に生きる人々の運命を叙情的に描いた宝塚歌劇の名作「黒い瞳」(脚本 柴田侑宏、演出・振り付け 謝珠栄)が、博多座(福岡市)で幕を開けた。宙組トップスター真風涼帆(まかぜすずほ)がロシア貴族の青年将校をみずみずしく演じ、専科へ異動する愛月(あいづき)ひかるが、動乱を扇動する骨太な首領プガチョフになりきっている。
18世紀後半のロシア。女帝エカテリーナ2世の支配下で、圧政に苦しむ農民は蜂起の機会をうかがっていた。地方貴族の陸軍少尉ニコライ(真風)は辺境の任地へ向かう途中、吹雪に遭い、薄汚い浮浪者に助けられる。その男こそ、のちのプガチョフ(愛月)。二人の友情は、歴史のうねりのなかで変貌(へんぼう)を遂げていく――。
愛月は、この博多座公演が宙組…