西武の若手投手陣が毎日バットを握り、トスバッティングに取り組んでいる。といっても打撃力向上が目的ではない。今季から8年ぶりに現場復帰した小野和義投手コーチ(53)が狙いを明かす。「下半身の使い方の強化。引っ張る力と踏み出した足をしっかり止める力を鍛えてるんです」
普通のトスバッティングとはひと味違う。歩幅は投球時と同じぐらいで、少し広めに。バットとともに踏み出した足に体重を乗せ、その姿勢をキープする。腰砕けに見えるスイングだ。10球3セットだが、地味にきつい。ドラフト6位新人の森脇(セガサミー)は「7球目くらいから足がプルプルする」。3年目の田村は「バットを横に振るので、体がぶれる。しっかり体重を前に乗せないといけない」。
発案者の小野コーチは「僕が高校時代からやってた練習。原始的だよ」。コーチを務めた近鉄や楽天などでも取り組み、昨季、セの最優秀中継ぎとなった近藤(ヤクルト)も近鉄時代に取り入れたという。
昨季はリーグ優勝を果たしながらもチーム防御率は4・24とリーグ最低だった。さらに菊池雄星が抜けた中、若い投手陣が地道な底上げを図っている。=南郷(照屋健)