韓国検察は11日、韓国大法院(最高裁)が朴槿恵(パククネ)前政権の意向を受けて徴用工訴訟の進行を遅らせたとされる事件で、前大法院長(最高裁長官)の梁承泰(ヤンスンテ)容疑者(71)を職権乱用などの罪で起訴した。朴炳大(パクビョンデ)容疑者ら2人の前大法官(最高裁判事)についても、共犯として同様の罪で起訴した。
韓国、前最高裁長官を逮捕 元徴用工訴訟を遅らせた疑い
検察によると、梁容疑者は朴前政権時代の2013年から15年にかけて、徴用工訴訟の進行を遅らせる目的で、日本企業に賠償を命じる判決が確定した場合の外交的、国際法的な問題点を強調する文書をつくり、担当判事に送るなどしたとされる。見返りに、在外公館に判事を派遣する制度の拡充など、大法院の組織運営に有利となる利益を得ようとしたとされる。
元徴用工の訴訟をめぐっては、日本企業に賠償を命じる13年の高裁判決後、大法院は昨年10~11月まで5年にわたって、判決を出していなかった。
起訴内容はこのほか、朴前政権に批判的な判事らに不利益な人事を行った事件など、多数に及ぶ。梁容疑者は今年1月24日の逮捕後、勾留されている。起訴内容については、全面的に否認しているとみられる。
梁容疑者らへの捜査は、李明博(イミョンバク)、朴両元大統領と2代にわたる保守政権の「積弊」一掃を掲げる文在寅(ムンジェイン)政権の方針に沿って進められた。検察は今後も、不正に関与した前職・現職判事の捜査を進めるとしている。(ソウル=武田肇)