シンガポールで1965年の独立以来、政財界の中枢を担ってきたリー・クアンユー初代首相の一家の対立が、政治に波及し始めた。クアンユー氏の次男シェンヤン氏(61)が、長男で現首相のシェンロン氏(67)を批判し、新しく誕生する野党と距離を縮めている。発端は、「3代目」をめぐる争いとみられる。(シンガポール=守真弓)
2日朝、シンガポールの庶民的な屋台街。旧正月を前に多くの人々でごったがえす中、2人の男性に注目が集まった。与党・人民行動党の元議員タン・チェンボック氏(78)と、シェンヤン氏だ。2人は「おいしい朝食だった」などと述べるにとどめたが、2人の写真はSNSで拡散した。
タン氏は2006年まで四半世紀にわたって与党議員を務め、今も庶民に人気がある。シェンヤン氏との会合が話題になったのは、タン氏が1月中旬、年内にもあると予想される総選挙に向けて、新党を立ち上げると発表し、「真に民主的なシンガポールをつくりたい」とフェイスブックに投稿していたからだ。
シェンヤン氏は17年、シェン…