本来は経営者の不測の事態に備える死亡保険が、実際は節税目的の金融商品――そんないびつな形で数千億円市場に拡大した「節税保険」に、国税庁が「待った」をかけることになった。顧客ニーズがあるとして販売を競ってきた生命保険各社は、商品戦略の見直しを迫られる。
節税保険の「全額経費」見直しへ 国税、生保に提示方針
節税保険と呼ばれる中小企業経営者向け保険は、保険料が月数十万円程度と高額だ。保険期間は数十年間で、死亡保険金は億単位。「経営者の不慮の死に備える」のがうたい文句だ。
だが実際は、生保の営業職員に誘われて節税目的で加入するケースが多い。多額の保険料で利益を圧縮し、法人税の支払いを減らす。保険は10年ほどで中途解約し、多額の保険料は返戻金(へんれいきん)として多くが戻り、役員退職金に充てれば、そこにも税金はかからない――「節税話法」と呼ばれる営業トークが横行した。
かつても同様の経営者向け保険…