インドネシア東部パプア州で警察官が巨大なヘビを使って窃盗事件の容疑者の男性を取り調べる様子を映した動画がネットで拡散し、国内で批判が出ている。地元警察トップが「正しいやり方ではなかった」と謝罪する一方、「真実を知る狙いだった。毒も持たず、かまないヘビで拷問ではない」と釈明した。
動画には、後ろ手に縛られ床に座らされた男性の首に、全長約2メートルの生きたヘビが巻き付けられ、警察官がヘビの頭や尻尾を男性の顔に近づける様子が映っている。目を閉じて「助けて」と叫ぶ男性に、周囲から「正直に」「携帯電話を盗んだのは何回だ」と尋問が続く。男性が「2回だけだ」と答えたところで1分21秒の動画は終わる。
同州ジャヤウィジャヤで最近撮影されたとみられ、取り調べを受けた男性は地元のパプア人だという。
分離独立運動が続く同州では、警察や軍による人権侵害が続くとされる。同州の人権問題に関わる弁護士のベロニカ・コマン氏は、ツイッターにこの動画を投稿して「パプア人の取り調べでヘビが日常的に使われている」と問題視。複数の人権団体も抗議した。(ジャカルタ=野上英文)