統計不正に関し、野党は14日の衆院予算委員会で「毎月勤労統計」が2015年に調査対象を入れ替えて賃金データが大きく変わった際の政府の対応を追及した。菅義偉官房長官は、15年3月末に当時の中江元哉・首相秘書官(現・財務省関税局長)が、厚労省の宮野甚一総括審議官、姉崎猛統計情報部長(いずれも当時)に「問題意識」を伝えたことを明らかにした。
首相秘書官が「問題意識」 勤労統計の対象入れ替え時に
立憲民主党会派の大串博志氏に答えた。
勤労統計では、調査対象の約半数を占める従業員30~499人の事業所の15年1月の全数入れ替えに伴い、過去の増減率が増加から減少に転じた月があった。菅氏によると、中江氏は入れ替えに伴う影響などについて厚労省側から説明を受け、「問題意識」を伝えたという。
菅氏は協議の経緯について「入れ替えで数値の遡及(そきゅう)改定が行われたと、厚労省から官邸の担当参事官に情報提供があった。大きく統計数値が変わることから、担当参事官から中江氏に相談の上、厚労省に説明を求めることになった」と答弁した。「問題意識」については、「過去にさかのぼって数値が大幅に変わる理由や、実態を適切に表すための改善の可能性など」と述べた。
14日の審議には中江氏が政府参考人として出席。立憲の小川淳也氏が経緯を質問したが、中江氏は「昨年7月に首相秘書官の職を辞している。本日は関税局長として出席しており、所管外のことは答えを差し控える」と述べ、具体的な答弁はしなかった。野党は中江氏がどう「問題意識」を伝えたかを聞くため、予算委への参考人招致を求めた。
首相は13日の衆院予算委員会で「15年9月に国会で質問を受け、答弁を準備する際に事業所入れ替えの影響がある旨の説明を受け、認識した」と述べている。
与野党は18日に統計不正問題をテーマに衆院予算委の集中審議を開き、19日に新年度予算案に関する地方公聴会を開くことで合意している。