やはり、並の新人ではない。そんな予感を漂わせる空振りだった。
巨人鈴木コーチ「いだてん」育成中 走塁の秘中の技伝授
IT端末が貧打を救う? バットに装着、振りなど数値化
2月1日のキャンプ初日に紅白戦を行ったロッテ。白組の八回の攻撃だ。2死から、3球団競合の末にドラフト1位で入団した藤原(大阪桐蔭高)が代打で登場すると、観客から拍手が送られた。ブルペンの投手陣も投球練習をやめるほど視線を一身に浴びたルーキーは、その初球を振りにいく。体がねじれ、背中にバットが届くまでの豪快な空振りだ。「僕はフルスイングで今までやってきた。プロの世界でも変えずにやっていきたい」
結果は四球だったが、首脳陣へのアピールには十分だった。井口監督は「初球からあんなに振れるのはすごい」と言い、打撃フォームをいじらないようコーチに指示を出した。
身長181センチ、体重78キロとプロ選手としては細身なのに、なぜここまで力強く振れるのか。取材をしていて目を見張ったのが、はち切れんばかりの前腕の筋肉だ。血管が浮き出て他の選手と比べても明らかに太い。聞くと、「リンゴなら潰せますよ」。握力は左右とも約85キロで、小学1年生のころからの毎日の素振りでつけた筋肉だという。
一方で、体力はまだまだ高校生。全体練習後に先輩たちが居残りで練習するなか、「もうクタクタで振れません」と弱音も。宿舎の部屋ではテレビを見る余裕もなく、「ひたすら寝ている」という。プロのレベルを肌で感じ、野球漬けの日々を送る18歳。1軍の舞台で、あのフルスイングを見られる日が待ち遠しい。(山口裕起)