茨城県八千代町長選の告示前に、有権者を買収して投票を依頼しようとしたとして、落選した候補者の男らが公職選挙法違反(物品買収の申し込み、事前運動)の疑いで県警に逮捕された事件で、候補者らが票を買収するため、複数の町民に梅干しを配っていたことが16日、捜査関係者への取材で分かった。町内の広範囲で配っていたとみられ、県警は今後、配布した件数などを慎重に調べる。
逮捕されたのは、前町議で会社員の国府田利明容疑者(36)=同町蕗田=と、父親で元町議の会社役員、利実容疑者(75)=同=。県警は16日、利明容疑者の選挙事務所など複数箇所を家宅捜索した。
捜査関係者によると、2人は昨年11~12月、町内の複数の家を訪ね、「次立つのでよろしく」などと言い、箱入りの梅干し(販売価格2千円相当)を配って回っていたという。
町内に住む50代の女性は朝日新聞の取材に「昨年11月下旬に親子で家に来た。旅行のお土産と言って梅干しを渡されたが、深い付き合いがあるわけではないのでお断りした」と話した。
一方、容疑者の親族の男性(42)は、取材に「(利明容疑者は)事前運動がだめということくらい分かっている。本人は配っていない、と言っていた」と話した。