昨年7月の西日本豪雨で51人が死亡した岡山県倉敷市真備町地区に隣接し、大きな浸水被害を受けながら、犠牲者がゼロだった地区がある。明暗を分けたのは、東日本大震災後に始めた自主防災の活動だった。
真備町地区の東隣にある総社市下原(しもばら)地区。1級河川の高梁川に支流の新本(しんぽん)川と豪雨で決壊した小田川が合流する地点に近く、110世帯約350人が暮らしていた。過去にたびたび水害に遭い、1893(明治26)年の大洪水では32人が死亡したという。
今回の豪雨では101世帯が床上浸水。浸水の深さは最大2メートル以上に達した。さらに地区内のアルミ工場で爆発事故が起き、約10棟が火災被害に遭った。
下原・砂古(さこ)自主防災組織ができたのは、2012年。前年の東日本大震災がきっかけだ。
高台の神社など3カ所を避難場…