楽天を担当していて、とくに肩入れしてしまうのが先発投手で32歳の美馬だ。なぜなら、とても「人間臭い」から。
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春季キャンプ第1クールの3日。美馬はブルペンでの投げ込み中、ブルペン捕手からフォームの問題を指摘され「そうですよね……」と、一目で分かるほどしょげた表情を浮かべた。キャンプでの練習中は、真剣勝負のシーズンに比べれば選手たちの表情は豊かだ。ただ、ここまで気持ちを表に出す選手も珍しい。
わずか2勝に終わった昨季、美馬は敵地では試合を作れても本拠地では苦しんだ。私は遠征について行くことが少なく、声を掛けるのは決まってホーム戦の後。「おしょうさん(丸刈り頭の私のあだ名)がいたから、今日もだめだったのかあ」と、よく冗談めかしたやり取りを繰り返した。
昨シーズン終盤の8月、美馬は右ひじに6度目となるメスを入れ、リハビリ生活に。久々にユニホーム姿を見かけた今キャンプの第1クール、私はほぼ毎日、美馬に声を掛けた。大体は「うまくいかない。課題ばっかっすよ」とまず愚痴をこぼした。と思ったら、「でも、成長期だからしかたないか!」と明るく言い放つなど、素直に感情をぶつけてくれた。
「一つ一つ課題を潰すのは、子どもの頃と同じ。だからプロ9年目でも、成長期なんです」とさわやかな笑顔で言われたら、復活を祈らない人はいないだろう。ただ、「せ、成長期って、今いくつだよ」と思ったのは内緒だ。(松沢憲司)