北朝鮮が昨年12月に作成した末端幹部用の教育資料を朝日新聞が入手した。利己主義の広がりを強く警戒する言葉が並び、資本主義の流入による社会の変化を事実上認めた格好になっている。北朝鮮当局が末端幹部に指示した対策は思想の強化ばかりで、対応に苦慮している模様もうかがえる内容だ。
資料のタイトルは「細胞委員長(農村部門)」。細胞とは、数人以上の党員で構成する朝鮮労働党の末端組織を指す呼び名で、細胞委員長が実行すべき課題や参考になる解決事例を計64ページの冊子にまとめてある。
紹介された事例は、草刈り作業などで自分のノルマ以上は働かない党員や、過剰なライバル意識を持った労働者が同僚の仕事を邪魔して生産力が落ちた飼料工場の問題など。その解決手法は「(最高指導者の著作などを学ぶ)労作学習などで、党の意図を深く認識させた」「集団の名誉のなかに個人の名誉があるという考えを植え付けた」といった、思想を教え込む内容ばかりだった。
資料は「帝国主義者らは、数多…