タイ総選挙の選挙戦で反軍事政権のタクシン元首相派が国防予算の削減などを訴えたところ、軍政側が反発し、プラユット暫定首相らが反論を繰り広げた。4年以上にわたる軍政からの民政移管に向けた3月の総選挙では、国防や軍のあり方も争点になりそうだ。
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発端は、タクシン派の主要政党「タイ貢献党」が国防予算を削減し、若い起業家などを育てる予算に回すべきだと訴えたこと。くじ引きで決まる徴兵制の廃止にも言及した。
これに対し、プラユット氏は18日、軍は国防だけでなく、麻薬や災害など様々な問題に対処していると指摘。「軍に多くの予算が与えられているのは国民のためだ」とし、徴兵制についても「国を守る義務は軍だけでなく、すべての国民にある」と述べた。
アピラット陸軍司令官も「政府と軍の仕事に誤解を生じさせようと、真実をゆがめている人たちがいる」と反発した。
2014年5月のクーデターで軍が実権を握ってから、国防予算は増加の一途をたどっている。総選挙では、プラユット氏を首相候補にかつぐ親軍政政党が軍主導の政権の継続を目指しており、今後も反軍政派との論戦が続きそうだ。(バンコク=貝瀬秋彦)