東日本大震災の津波被害を受け、居住用建築物の建設が禁じられた宮城県南三陸町の災害危険区域で、地元の水産加工会社が工場を造り、2階を寮として外国人技能実習生の女性約10人を生活させていた。災害から人命を守る法令の趣旨にそぐわないことから、町は改善を促す方針だ。
水産加工会社は2013年ごろから、フィリピン、ベトナムから来た計約10人の技能実習生を災害危険区域内の工場で働かせ、寮に住まわせていた。工場はほぼ港に面しており、海抜は約1メートル。1階がワカメの選別、ホタテのからむきをする加工場、2階が寮で、約10人は職住一体の生活を送ってきた。フィリピン人の一人は「東日本大震災で津波が来たのは知っている。でも『災害危険区域』とは知らなかった」と話す。
同社社長は取材に対し、フィリピン人は帰国したが新たにベトナム人5人を受け入れたとし「災害危険区域という認識はなかった。現在は技能実習生10人の寮だが、行政から正式な指導があれば従う」と答えた。
町幹部は「災害危険区域と知らせず住まわせているのは問題だ。改善を促したい」としている。
■真っ暗な夜「安全で…