フリマアプリ大手のメルカリに昨秋、44人の外国籍社員が入社した。そのうち32人はインド人だ。ほとんどが新卒で、日本で働くのは初めて。そんなエンジニアの卵たちは異国のカイシャに溶け込めているのか。なぜメルカリはこれほど多くの外国人を採用するのか。東京都港区のメルカリ本社を訪ねた。
みんなでティーブレーク
ある午後、メルカリの一角にある畳敷きのスペースに、インド人を含めた外国籍メンバーたちが集まってきた。
週に3回、午後に30分間ある「ティーブレーク」の時間だ。10人以上集まる日もあれば、数人のときも。大学の休み時間のようなカジュアルな雰囲気だ。ある外国籍新卒社員に「お茶しに来てて、上司は怒らない?」と聞いてみると、「みんなもティーブレークしているから大丈夫」と笑顔で答えてくれた。
ティーブレークを発案したのは大角佳代さん(29)。インドで働いていた経験を買われ、昨年10月、つまり新卒社員らと同じ時期に彼らのサポート役としてメルカリに入社した。
「新卒で海外、そもそも働くことが初めてのメンバーも多い。ここでは何を話してもいいよ、という場があれば」と、さまざまな交流の場を提案する。彼らに声をかけ、休日に一緒に出かけることもある。
大角さんに象徴されるように、メルカリは社員の多国籍化を見すえ、手厚いサポート体制を築いてきた。
社員間の通訳や語学教育などを担うのはグローバル・オペレーションズ・チーム(GOT)。17年に立ち上げ、家の賃貸契約から地下鉄の乗り方まで、生活全般をサポートする。
新卒の外国籍社員には、同部署で仕事上のケアを担う「メンター」と、他部署から日常のケアを担う「バディ」という先輩社員がつく。バディやメンターとは一緒に研修を受けたり、ランチをしたり、日々コミュニケーションを取る。外国人社員との昼食会や、文化交流パーティーなどもしばしば開かれる。会社はその際の食事代や、日本人が語学を学ぶための費用なども負担する。
「趣味は必要ない」
「国際会議で有能な議長とは、インド人を黙らせ、日本人をしゃべらせる人」
こんなジョークがあるほど、日本人とインド人の文化は違う。メルカリの職場でも、小さなすれ違いは日常茶飯事だ。
新卒の外国籍社員らの配置を決…