北朝鮮は27日までの米朝実務協議で、非核化以外の議題には積極的に応じる一方、非核化では具体的な協議に踏み込んでいないという。米朝関係筋が明らかにした。非核化について詰め切れないまま首脳会談に突入することになりそうだ。
分かりやすい米朝首脳会談まとめ
米朝は昨年6月のシンガポールでの首脳会談の共同声明に「新しい米朝関係の構築」「平和体制の構築」「朝鮮半島の完全な非核化」「行方不明米兵の遺骨回収」の4項目を盛り込んだ。今回の会談では、この4項目を進展させるため、具体的な措置に触れた共同文書で合意することを目指しているとみられる。
この関係筋によると、米朝国交正常化に向けた道筋を共同文書で描く可能性が出ているという。別の米朝関係筋は「道筋の一つとして、平和宣言や連絡事務所の相互設置などの目標を盛り込む可能性がある」と語る。
一方で北朝鮮は、非核化の具体的な措置では慎重な姿勢を示し続けているという。ただ、そのままではトランプ氏が協議への関心を失うおそれもあり、米国にとって成果となる内容を検討しているようだ。前回の声明で、朝鮮戦争で亡くなった米兵の遺骨返還を盛り込んだように、今回は1968年に北朝鮮が拿捕(だほ)し、平壌で展示している米情報収集艦プエブロ号の返還を提案するとの見方もある。(ハノイ=牧野愛博)