ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王の側近の一人で、オーストラリア人枢機卿のジョージ・ペル被告（７７）が、豪南東部ビクトリア州地裁で少年２人への性的虐待罪で有罪の評決を受けた。裁判所が２６日、発表した。量刑は後日、言い渡される。ペル被告は上訴する方針という。

聖職者の性的虐待、カトリック危機感 法王が異例の招集

豪紙エイジ（電子版）によると、ペル被告は１９９６年１２月と９７年２月、大司教を務めていたメルボルンの聖パトリック大聖堂で、日曜日のミサの後に当時１３歳の聖歌隊の少年２人に性的虐待をした。

ペル被告はローマ法王庁（バチカン）の財務省にあたる財務事務局の元局長で、元法王の故ヨハネ・パウロ２世が枢機卿に任命した。カトリック教会は今月２１～２４日に、聖職者による性的虐待問題を話し合う初の会議をバチカンで開いたばかり。この問題で有罪となった聖職者の中では最高位とみられる。

判決を受けてバチカンは２６日、「ペル枢機卿はすでに、未成年者との接触やミサなど公衆の前での活動を禁じられている。司法の最終判断を待っているが、教会が特に子どもや弱者にとって安全な場所となるよう努めていく」とのコメントを発表した。

陪審員による有罪評決は昨年１２月に出ていたが、ペル被告が起訴された別の性的虐待事件の裁判に影響を与えないように、裁判所が報道を禁止する命令を出していた。検察側が２６日、この別件を取り下げたため、裁判所が命令を解除した。（シドニー＝小暮哲夫、ローマ＝河原田慎一）