混乱の最中に何があったのか、復旧復興の意思決定は――。東日本大震災で被災した市町村が作成した公文書や手控えメモは、災害を記録し、後世に教訓をもたらす。だが市町村の対応はばらばらで、すでに一部が散逸した恐れが強い。専門家は市町村任せの現状に警鐘を鳴らす。
文書大量「場所・人手ない」
「7:46 避難漁船53隻 食料尽きかけている」「8:40 (自衛隊)只野旅館から生存者6名救出」
ポスターの裏紙に走り書きされた油性ペンの文字。発災直後、岩手県大船渡市役所の災害対策本部で書かれたとみられる経過表だ。「1名生存のもよう」の「生存」をこすって消し、「救出」と書き直した箇所もあり、生々しい状況をうかがわせる。
旧崎浜小の教室に積み上げられた17個の段ボール箱。中に収められた資料は市が永年保存すると決めた震災公文書や資料類だ。市は2012年1月末、震災に関わる全文書の保存を各部署に通知した。
通知を発したのは当時、総務部…