名古屋市中村区の再開発地区「ささしまライブ」から名古屋駅に向かう地下通路の整備計画が、宙に浮いている。河村たかし市長は地上にデッキを設ける案を示しているが、進出企業は地下道を整備するよう繰り返し市に求めている。
名古屋駅、変わりゆく街
地下通路の計画は「笹島交差点」と「下広井町交差点」の南を結ぶ約400メートル。ささしまライブが開業した2017年度に完成する予定だったが、河村市長が「出口がささしま地区内になく、誰も通らない」「地上のにぎわいがなくなる」などとして止めているという。
市は4日の市議会本会議で岡本善博氏(自民)の質問に対し、進出企業などでつくる協議会からこれまで4回にわたって早期整備を要望されたと明らかにした。「企業の多くは地下通路整備を前提に数百億円の投資をした。(未整備のため)商業施設を中心に厳しい状況に追い込まれている」と説明されたという。
市はまた、河村市長が2月、地上にスロープ構造のデッキを造る案を有識者に相談したことを明らかにした。有識者は「不可能ではないが、(既存の)ビルの前に高架ができるため地権者の反対が予想される」との課題を示したという。
河村市長は本会議で「ようけ人が来て、にぎわうようにせないかん。地下道だけで入るのか」と述べる一方、「シンクタンクのようなところに聞いて判断を仰ごうと思っている」とも答弁した。進出企業による協議会のメンバーは本会議後に会見し、「何ら整備されない状況が続くことを危惧する」として、20日までに整備完了までのスケジュールを示すよう河村市長に文書で求めると発表した。(関謙次)