軍事独裁政権下にあった1970~80年代の韓国。情報機関の拷問による取り調べで北朝鮮のスパイにでっち上げられ、服役した在日韓国人の留学生たちがいた。やがて民主化が進み、再審で無罪を勝ち取った人もいる。青春を獄中で過ごさざるを得なかった人々の苦難の歩みとは。
韓国の元新聞記者、金孝淳(キムヒョスン)さんによるノンフィクション「祖国が棄(す)てた人びと」(明石書店)が昨秋、日本でも翻訳出版された。著者は東京や大阪などで元留学生や支援者らを取材。裁判資料なども参考にしてまとめた。「でっちあげ」の被害者は100人余りにのぼるという。
朴正熙(パクチョンヒ)政権下の75年、中央情報部(KCIA)が北朝鮮の指令でスパイ活動をした、などとして在日韓国人の留学生らを国家保安法や反共法違反などの容疑で逮捕。「学園浸透スパイ団事件」として大々的に発表した。
本にも登場する千葉商科大学教…