トランプ米政権を揺るがしてきたマラー特別検察官による「ロシア疑惑」の捜査が22日、終結した。捜査報告書が、大統領選への介入をめぐるロシアの共謀やトランプ氏の司法妨害に踏み込んでいれば、政権の根幹を揺るがしかねない。報告書の内容や開示範囲は、2020年の大統領選にも大きな影響を与えそうだ。
「投票も受けていない男が私に関する報告書を書く。大統領職に裁断を下す? 国民は支持しない」
トランプ氏は22日に放送されたFOXニュースのインタビューで、マラー特別検察官を激しく牽制(けんせい)した。
2人の対決は、2017年5月、トランプ氏がロシア疑惑に関する捜査を進めていた連邦捜査局(FBI)のコミー前長官を解任したのがきっかけだ。世論や議会から司法妨害との批判の声が上がるなか、ローゼンスタイン司法副長官がマラー氏を任命した。
トランプ氏はその後、「政治史上最大の魔女狩り」「でっち上げ」など、司法妨害すれすれの暴言を並べて、マラー氏の捜査をこき下ろしてきた。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、トランプ氏は約2年間で1100回以上も捜査を批判。対象はマラー氏だけでなく、司法省や高官、捜査機関に及んだ。
その執拗(しつよう)な批判の狙いは、捜査の信用性を損なうことだ。弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)の権限を持つ連邦議員は、世論に左右されることを見越した戦略が透けてみえる。実際、米メディアが3月に実施した世論調査では、50%が捜査は「魔女狩り」と答えるなど、奏功している。
また、人事権を使って疑惑捜査…