2016年の米大統領選でロシアがトランプ氏陣営に肩入れしたとされる「ロシア疑惑」を巡り、2年近く続いたマラー特別検察官による捜査が来週にも終結すると、米CNNが20日伝えた。ロシアとトランプ氏側との関係がどこまで解明されるかが注目され、トランプ政権に打撃を与える可能性もある。
マラー氏は捜査報告書をバー司法長官に機密文書として提出、バー氏が捜査終結を宣言し、内容を議会に報告する。マラー氏はトランプ氏が捜査に介入した司法妨害疑惑についても報告書に盛り込むとみられているが、議会に開示する情報の範囲についてはバー氏が決定する。民主党が過半数を占める下院が弾劾(だんがい)の手続きを進める根拠にもなるため、開示内容は極めて重要になる。
今月14日に就任したばかりのバー氏は、就任前はマラー氏の捜査手法について米メディアで批判していたこともある。そのため、民主党からは中立性を疑問視する声も出ている。報告書の扱いに公正さを確保できなければ、民主党側から反発が強まるのは必至だ。
ロシア疑惑をめぐっては、トランプ大統領が2017年5月に捜査を指揮していたコミー前連邦捜査局(FBI)長官を突然解任し、トランプ氏による司法妨害疑惑が浮上した。独立性の高い特別検察官による捜査を求める声が高まり、マラー氏が同月に任命された。
マラー氏はこれまでトランプ氏の元側近やロシアの軍情報当局者らを含む計34人を訴追した。これまでの訴追では、選挙介入を巡るトランプ氏側とロシアとの具体的な共謀までは明らかになっていない。(ワシントン=杉山正)