開会式。拍手がわく入場行進のなかで、選手の先頭を歩く2人の表情は少し硬かった。前回大会で2連覇を果たした大阪桐蔭の主将中野波来(はる)と副主将の宮本涼太だ。前年優勝校の校旗掲揚では、流れる校歌を2人だけで歌った。
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開会式を終えても、中野は険しい顔のままだった。「一番悔しかったのは、優勝旗を返還する瞬間でした。2年間、この旗を持っていた。先輩たちのことを考えると本当に悔しいです」
昨秋は近畿大会で8強止まり。選抜出場の当落線上にいたものの、選考委員会では選ばれなかった。前チームが春夏連覇を果たした一方で、新チームの始動は遅れていた。「それは言い訳にならないです」と言い切る。
「負けた秋の大阪での履正社戦と近畿での智弁和歌山戦、それと選考委員会で選ばれなかったことを、自分たちは『3度の負け』と言ってきた。この悔しさは全部、夏にぶつけます」と中野。平成の高校野球界を席巻した大阪桐蔭。まもなく元号がかわる。次の時代、最初の甲子園を逃すつもりはない。(小俣勇貴)