英語や仏語などの「f」や「v」の上の前歯で下唇を軽くかむ発音は、人類が狩猟から農耕生活に変わり、軟らかい食べ物を食べるようになってかみ合わせが変化したからだった。スイスのチューリヒ大学の研究チームが旧石器時代からの人類の骨格から分析し、米科学誌サイエンスに発表した。
人類の発音は長年、変わってこなかったと信じられていた。だが、1985年に米国の言語学者が上の前歯で下唇を軽くかんで発音する「唇歯音(しんしおん)」は軟らかい物を食べている社会に多いとの説を唱えた。研究チームはこの説を検証するため、かみ合わせと言語の変化を調べた。
骨格を調べたところ、旧石器時代から時代が進むにつれて、上の前歯が下の歯より徐々に前に出てきていた。さらに、上の歯が前に出ている方が3割ほど少ないエネルギーで唇歯音を発音できることをコンピューターシミュレーションで確かめた。
また、研究チームは言語学的な…