約9億人の有権者を抱える「世界最大の民主主義国」インドで総選挙の投票が4月11日に始まる。前回2014年総選挙で圧勝したモディ首相(68)が続投できるかが焦点だ。指導者としての支持率ではトップを走るが、かつてのモディ旋風はやみ、地元グジャラート州でさえ逆風が吹く。(スーラト=奈良部健)
「首相就任からの4年半、ビジネス環境の改善を最優先課題に掲げてきた」。昨年10月に来日したモディ氏は都内での講演でこう訴えた。実際、世界銀行が発表しているビジネス環境ランキングで14年に142位だったインドが18年には77位になった。
グジャラート州首相時代に企業誘致やインフラ整備で手腕を発揮したモディ氏。首相としても、州ごとに異なっていた間接税を集約する物品サービス税(GST)を導入したり、企業の新陳代謝を促す倒産法を制定したりして、経済の活性化を図ってきた。成長率は就任前に比べて1~2ポイント上昇し、7~8%台を記録している。
だが、その恩恵は13億人の人口全体に行き渡っていない。年間1千万~2千万人の雇用を創出すると公言したが、実態は700万人程度とみられ、「雇用なき成長」と批判されている。
失業率が高止まりしているとも…