欧州連合(EU)の欧州議会は26日、夏の間だけ時計を1時間進める、いわゆる「サマータイム(夏時間)制度」を2021年に廃止する法案を可決した。今後、EU加盟国の代表との話し合いで、最終的に廃止するかどうかを決める。
賛成410票、反対192票、棄権51票だった。EU加盟国の大半は省エネなどを目的に、2度の世界大戦時や石油危機があった1970年代にこの制度を導入。現在は、EU全28カ国が3月の最終日曜日に時計を1時間進め、10月の最終日曜日に戻している。
だが、欧州委員会がEU市民を対象にした昨夏の調査で、8割以上の回答者が健康への悪影響や交通事故の増加などを理由に、この制度に反対。欧州委が廃止を提案していた。
現在もEU内では各加盟国が三つの時間帯から標準時を選んでいる。加盟国は制度が廃止された後、それぞれの国で夏時間を通年で採用するか、標準時で通すのかを選ぶ。
欧州議会はこの日採択した文書で、近隣の国で判断がばらついて時差が入り乱れるといったことがないよう「調整することを求める」とした。調整が難航すれば、廃止時期の最大1年の延長を求めている。(津阪直樹)