新天皇の即位にともなう10連休が、4月下旬から始まる。お祝いムードと休みの長さから特需に期待がかかる一方、景気への影響はほとんどない、との冷めた見方もある。
外食や娯楽の業界は、お祝いムードを追い風にすることを狙う。
すし居酒屋「や台ずし」を全国各地で展開するヨシックスは、新元号を当てた人に食事券を贈るキャンペーンを始めている。
首都圏や関西圏などにあるカラオケ店「パセラ」は、平成に流行した曲のリストを作ったり、1990年代に若い女性の間で流行した「ガングロメイク」で来店した客は割引したり、といったイベントをすでに開催中だ。
昨年は飛び石の7日間だった休みが、今年は10日連続となる。第一生命経済研究所は、日本人の国内旅行に関する消費は3割ほど増えると見込む。
旅行や飲食、レジャー施設を含む「生活娯楽関連サービス」の好調は、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏も予測する。土日以外の休みが1日増えると、この分野の1カ月あたりの生産量が0・83%増える、と試算する。
一方、休みで工場などがとまる影響は、経済にはマイナスに働く。シャープは複写機用のトナーをつくる奈良県の工場で操業を10日間とめる。昨年より1日多く、こうした現象は、全国各地でありそうだ。
斎藤氏は、鉱工業の生産減少を0・95%、金融・保険業の減少を0・98%と試算。好調の娯楽関連も含めた全産業への影響をマイナス0・41%とみる。
ただ、工場の停止で滞った生産は、休み明けの増産で差し引きゼロになるケースもあるとみられる。逆に連休中にお金をたくさん使った人が、その後の消費を抑えることもありそうだ。
「想像されているような経済効果は、日本経済全体でみると期待できない」と斎藤氏。「連休後の反動も含めれば、景気への影響はほとんどない」と話す。(森田岳穂)